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2010年2月分


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2010/02/28


   「メンデルスゾーン と シューマン」 の話



フェリックス・メンデルスゾーン Felix Mendelssohn 1809 - 1847


ロベルト・アレクサンダー・シューマン Robert Alexander Schumann 1810 - 1856
 今週は来月指揮するシューマンの交響曲1番「春」の勉強をしてた。 ところでメンデルスゾーンはシューマンの一つ年上。先月メンデルスゾーンの交響曲3番「スコットランド」 を指揮したばかりだけど本当にこの二人はほとんど同じ歳でありながら正反対の作曲家だとつくづく思う・・・。(どちらも大好きな作曲家です。)

 メンデルスゾーンは天才だった。オーケストレーションも抜群でフォルムが美しく品格が高い。つまり「恥ずかしい」ところがないのだ。 指揮するときもこのフォルムが崩れないようにするのが大切なことの一つだ。(ただし一歩間違えるとつまらない演奏になってしまう。)メンデルスゾーンの交響曲は生命力に溢れ、 またその高貴さと美しさに指揮台の上で息を呑むことすらある。

一方のシューマンはメンデルスゾーンに比べて不器用だけど情熱に溢れる。そして語弊はあるが「恥ずかしい」ところがたくさんある。 例えば1楽章で最後にテンポが落ちて美しいテーマをオーケストラが歌い上げるが、当時としてみればあり得ないくらい恥ずかしい・・(だから僕はここが大好き)。 だいたい1楽章でトライアングルが出てくることもすごく恥ずかしい。でも恥ずかしいからこその快感が味わえるのだ・・。

メンデルスゾーンの交響曲を指揮するときその完璧なフォルムを再現することを心がけるが、逆にシューマンの交響曲はそのフォルムは完璧でないから指揮者にゆだねられるところが大きい。

メンデルスゾーンは指揮者としても有能で高い評価を得ていたけどシューマンは指揮者として評価が低かった。自己陶酔型でリハーサルの要領も悪かったのだそうだ。

恋愛についてはメンデルスゾーンは冷静だ。10歳年下の美しいセシルと交際を始めたとき(彼女は音楽に関しては全くの無知だった)わざわざ一ヶ月旅行をして彼女から離れる。 自分の気持ちを確かめるためだったらしい。結婚後は彼女とやり取りした手紙は破棄してしまう。ただし愛妻家だったのは間違いないらしい。

一方のシューマンは当時一流のピアニストだったクララと情熱的な恋に落ちる。クララの父親は猛反対したがついに結婚する。結婚してからもお互い交換日記を続け、 また自分の日記にはクララとセックスをした日に「F」とこまめにつけていた。

女性から見て冷静で要領がいいのがメンデルスゾーン、ちょっと面倒で不器用なのがシューマンだったのかもしれない。

メンデルスゾーンは働き過ぎで血管が破裂して死んだといわれるがシューマンは梅毒が原因で気が狂って人生を終えた。

僕はもちろんどちらの作曲家も大好きでここで二人の優劣を書いてるわけでは無い。
全く違う作曲家たちの素晴らしい作品を指揮できるのが指揮者冥利に尽きて本当に幸せだと改めて思ってるのだ。

ところでシューマンが天国に逝ってしまうまでの最後の2年間シューマンが精神病院にいる間クララ(当時36歳)と恋におちたのがシューマンより23歳下のブラームス(当時22歳)。 シューマンが他界した後この二人はお互いになくてはならない存在となっていく。

二人は交際をはじめて約30年後にお互い交わした手紙を交換した。ブラームスはそれをライン川に沈め、クララは炎に入れたという。
なんともロマンチックだと思いませんか・・?

話がどんどん脱線してしまった。来月指揮するシューマンの1番の話はまた来週します。


 それでは皆さんコンサートでお会いしましょう!


   藤岡 幸夫


2010/02/26


昨日は30年ぶりに卒業以来初めて母校の高校のオーケストラを指揮してきた。
制服も同じだし校舎も変わってなくて教室も同じ。懐かしかったー!


曲目はチャイコフスキーの「悲愴」にヴェルディの「シチリア島の夕べの祈り」、リムスキー・コルサコフの「スペイン奇想曲」。思ってたよりよく頑張ってた。


僕は高校1年のときはチェロを弾いていたけど2年のときは専門的に勉強するからといって休部してとにかく超生意気だった。
授業をよくさぼって師匠の小林研一郎先生や小澤征爾さんのリハーサルを見に行った。


ちなみに僕が3年になって指揮したのはワーグナーの「ローエングリン」の前奏曲にブラームスの「大学祝典序曲」と「交響曲1番」だった。


朝から晩まで指揮者になるのを夢みてたあの頃が鮮やかに蘇ってきていい刺激になったし、かわいい後輩たちと音楽ができて楽しかった。


みんな演奏会頑張ってね!


   藤岡 幸夫




※2/25 母校での event reportはこちら
2010/02/24


昨日の夕方は僕の尊敬する冨田勲さんと4月18日の日本フィルとのコンサート(サントリーホール)の打ち合わせ。

以前も書いたが冨田勲さんと言えば70年代にシンセサイザーを使って素晴らしいアルバムを次々に送りだして世界的な大ヒットを飛ばした作曲家。
シンセサイザーだけでなくオーケストラ作品も素晴らしい。

今回は後半は交響詩「ジャングル大帝」。昨年日フィルとレコーディングして関西フィルともコンサートで取り上げた傑作だ。

スケールが大きくまたジャズの要素もたくさん入って楽しく、またときにその美しさに息を呑む…。
40分を越える大作だ。


今からすごく楽しみ!
是非ともたくさんのかた達に聴いて欲しい。



久しぶりにお会いした冨田先生は相変わらずお元気でした。



中学生の頃の愛聴盤だった、冨田さんの「惑星」。世界的に凄いヒットしたアルバムで今聴いてもワクワクする。



昨年日フィルとレコーディングした「ジャングル大帝」のCD&DVDセット。DVDではお話にそってなんと綾戸智恵さんのナレーションと手塚治虫さんがこの曲のために書き下ろした16枚の絵が楽しめます。サラウンドの効果も抜群!


   藤岡 幸夫


※2009/5/6付from sachio「冨田勲さんの話」はこちら
2010/02/22


今日は平成22年2月22日で2が並ぶ珍しい日だそうだ。

特にそれとは関係なく今日はお馴染みの朝日友の会主催の中之島公会堂の中ホールでのレクチャーコンサート。

前半は西濱事務局長の司会で僕がベートーヴェンからブラームスまでのドイツもののレパートリーについて1時間くらい話をして後半は関西フィルの弦楽アンサンブル(指揮はコンサートマスターのゴギさん)。僕は客席で楽しませてもらいました。

平日の昼間にも関わらず客席も大盛況で素晴らしい企画だと思う。

皆さんありがとうございました!

来月の大ホールのコンサートも楽しみ!

毎回言ってるけど中之島の大阪市中央公会堂は大正時代に建てられたヨーロッパ調の美しいホール(重要文化財です)。日本でこんな古く美しいホールでコンサートを聴けるのはこの中央公会堂だけなので是非とも知らない方には来て欲しい。


それでは皆さんコンサートでお会いしましょう!



中ホールもまるでタイムスリップしたような素敵な雰囲気で音響も抜群。

 
大阪市中央公会堂




   藤岡 幸夫



2010/02/21


   指揮者「広上淳一さん」の話


今日は毎年恒例になった加古川でのコンサート。
お客様の雰囲気がすごく暖かくて振ってて楽しかった!

関西フィルもいい音がしてたし、ショパンのソリストの横山幸雄さん素晴らしかったです。皆さんありがとうございました!


部屋に帰って来てなんの気なしにテレビをつけたら尊敬する先輩指揮者の広上淳一さんがN響を指揮してた。

広上さんは僕のイギリス留学時代からよく明け方まで飲んで僕を励ましてくれた大好きな、そして素晴らしい指揮者だ。

広上さんが指揮してたのは武満徹さんのワルツ「他人の顔」。僕がこの曲を指揮するときはフレンチっぽい武満さん独自の音色にこだわるのだけど広上さんは全く違うアプローチ・・・。

背筋がゾッとするような音楽をオーケストラから引き出してた。この曲の本質を見事にえぐっていたと思う。
改めて凄い指揮者だと思った・・・。





   藤岡 幸夫


※2/21 加古川公演 event reportはこちら
2010/02/20


今日は関西フィルと明日の加古川(兵庫県)のコンサートリハーサル。

以前も書いたけどショパンのピアノ協奏曲の1番はデビューしたての頃はあまり面白いと思わなかったけど、今では大好きな曲のひとつ。

関西フィルはショパンらしい繊細で美しい音色を引き出してくれて嬉しい。

久しぶりに共演するソロの横山幸雄さんのショパンは格調高く明日が楽しみ。

それでは皆さんコンサートでお会いしましょう!





   藤岡 幸夫


2010/02/18


 月曜は関西フィルと毎年恒例の東大谷高校の卒業コンサート。
とても明るい雰囲気で関西フィルもすごくノってて楽しかった。この中から新しいクラシックファンが生まれてくれることを願う。
 皆さんありがとうございました!

 次の日は下田バレエ団の方たち、琵琶湖ホールのスタッフの方たちと3月の毎年恒例の親子コンサートの打ち合わせ。素敵な舞台になりそうで楽しみ。

 今週はマーラーの勉強はお休み。3月に東京フィルと取り上げる吉松さんの新作のスコアが2曲届く。
新しい作品のスコアを読む時間はいつもワクワクする。
ドヴォルザークの 「アメリカ」 をオーケストラに編曲したものはスコアが届く前はどうなんだろう?とちょっと心配だったが吉松さんのセンス抜群。 「タルカス」 はすごく難しい・・・久しぶりににどうやって振るんだ?とちょっと今から冷や汗。もちろん何とかします。

 今日は東京は雪。部屋からのんびり雪景色を楽しみたかったが、これから雑誌の取材とFMの収録。

 今週の日曜日は久しぶりに日本を代表するピアニストの横山幸雄さんと大好きなショパンの1番(もちろん関西フィル)。加古川の皆さんに再会できるのも楽しみ。

 それでは皆さんコンサートでお会いしましょう。


   藤岡 幸夫



2010/02/14


先週はどっぷりマーラーのスコアに浸ってた。
勉強しててすごく面白い。

大阪には今日帰ってきた。梅田が普段にも増してカップルで盛り上がってた。
そういえば今日はバレンタインデー。青春の日々を思い出す・・・・・・。


夜ホテルの部屋で一杯やりながらテレビをつけたら物忘れのテストをやってたので思わずメモ帳を取り出す。もちろん満点だったがバレンタインの夜に独りで何やってんだと我に返ってテレビを消す。


明日は関西フィルとコンサート(一般非公開)なんで早寝します。


それではお休みなさい・・・。


PS 上村愛子残念だったね。彼女の姿を見てて思わず目頭が熱くなってしまった。


   藤岡 幸夫



2010/02/09


  昨日の夕方から珍しく熱を出した。僕は自慢じゃないけどリハーサルや本番が続いてるときに熱を出したことがほとんど無い。


人間の身体はよくできてるもんで熱がでそうなときでもコンサートがあるときは身体が熱を抑え込んでくれてる自覚がある。その代わりオフのときはその抑えが効かない。


昨日の夜からたっぷり睡眠をとったのに今日も不調。明け方目を覚ましてからはホテルの部屋でゴロゴロしながらスコアを読んだり本を読んだりしてたが夕方4時くらいに思い切って外に出る。病は気からだ。


今日はもう勉強は止めて和食屋さんのカウンターで熱燗におでんに湯豆腐。
体調が良くなって来たので以前から観たかった映画「史上最大の作戦」のDVDを買ってきた。


小学生の頃に観ただけで、3時間もする映画なのでなかなか見れなかったけどすごく面白かった。


僕はコンピュータを使って何でもアリで刺激過剰の今の映画より昔の映画の方が好きだ。作り手の夢ややることのスケールが大きい。殺しあいのシーンは好きじゃないが、白黒映画にも関わらず「すげぇな・・・」を連発しながらあっという間に時間が過ぎた。


この映画では勝利で喜ぶ軍人の姿は無い。かと言って暗くもないなんともいえないバランス感覚でできてる。


最後の連合軍の兵士が「どっちが勝ったんだろう・・・」と呟いた後に場面が代わり例の口笛の有名なテーマが流れてくる。それまでほとんど音楽が使われないのですごく効果的だ。


連合軍の勝利を強調せずわざと最後はあっさり終わらせるので口笛のテーマがちょっと切ない。


むしろ最後は戦争について改めて考えさせられる。
観て良かったと思う。


   藤岡 幸夫



2010/02/08


 昨日の関西フィルとの小野(兵庫県)のコンサートは吹奏楽団と合唱団と共演するようになって10年目。お客様もいつも満席。


毎年吹奏楽、合唱団、子供合唱団もレヴェルアップしてきた。とにかくみんな明るく、その笑顔を見てるだけで心が温まる。
昨日の出来は10年前じゃ考えられなかった。

指揮してて楽しかった!


マリア役の日紫喜さんは当たり役で素晴らしく、合唱団からのソロのかたたちは初々しく、関西フィルも素敵な演奏でした。

みなさんありがとうございました!来年さらなる飛躍を目指しましょう!




子供合唱団の歌声には微笑ましくて毎年癒されるが、今回のサウンド・オブ・ミュージックのハイライトは50分を越える大作(毎年合唱指導の稲村穣司さんのオリジナル編曲で今回もセンス抜群でした)。子供たちは振り付けも可愛らしく大活躍でした。終演後の毎回恒例の打ち上げでみんなで一枚。



   藤岡 幸夫


※2/7 小野公演 event reportはこちら
2010/02/06


 明日は毎年恒例の小野でのコンサート。毎年たくさんのお客様ですごく楽しくて暖かい雰囲気なので今から楽しみにしてる。


今朝、新幹線で大阪に向かう途中、気がついたら外は銀世界。雪を見ると必ず頭の中でショスタコーヴッチの6番の冒頭が聴こえてきてルーマニアを思い出す・・・・・・。



新幹線の中で気がついたら外は銀世界だった。


   藤岡 幸夫


旧公式ホームページ2002/3/31付From Manchester「10年前の想い出」をご覧下さい<管理人>

2010/02/04


 久しぶりに本番が1週間以上ないのでちょっとリラックス。

 日曜日(31日)は毎年恒例の小野(兵庫県)で関西フィルと共演する吹奏楽団と合唱団とのリハーサルに行ってきた。

 吹奏楽団は新しい団員さんも入ってどうなるか楽しみ。中学生から年配の方まで年齢層が広いのが魅力。
 合唱団は今年は児童合唱団に振り付けもたくさんあって大活躍。いつもながら明るくて笑いが絶えない。やろうとしてることはすごいけどまだ練習不足。

 小野市は5万人の街だけどコンサートは毎年完売して素敵なコンサートになる。 吹奏楽と合唱の皆さん、残り気合入れて練習してください!楽しみにしてます。

 月・火・水と新聞や雑誌の取材のほか、普段応援してくださる企業のかたたちと打ち合わせやご挨拶に行く。この不景気の中応援して下さるのは本当にありがたいし感謝の気持ちでいっぱいです。(関西フィルの西濱事務局長をはじめとしたスタッフのみんなのすごい頑張りのおかげでもあります)。

月曜日の夜は関西フィルのメインスポンサーのダイキン工業主催の国際美術館での恒例イヴェントがあったので(毎回絵を鑑賞したあと立食パーティをして室内楽のコンサートという贅沢な企画)。井上ダイキン工業会長をはじめ理事のみなさんやダイキン工業のかたたちにもご挨拶できて良かった。
 
 一昨日は関西フィルとリハーサルした後KISS FM (神戸)の収録。放送は4月3日と10日。 収録後にスタッフのかたたちとスポンサーの森下仁丹の駒村社長(実は中学の先輩)のご招待で新地で久しぶりに夜中過ぎまで飲んで騒いだ。 すごく楽しかったけど普段早寝なので次の日さすがにこたえた。

 昨日は東京に戻って何十年ぶりかで豆まき。

 「鬼は外!福はウチ!」と言って豆を外にまいた。さっき気がついたけど「福はウチ」の時も外にまいちゃったけど・・・大丈夫かな。

 それでは皆さんコンサートでお会いしましょう!


PS 久しぶりに昔よく聴いたアマデウス四重奏団をメインにしてグラモフォンに録音されたブラームスの弦楽六重奏曲を聴いたけど、その美しさに息を呑んだ。団員さん同士が愛し合った素晴らしい演奏だ。
この録音は高校生時代の愛聴盤で昔LPでよく聴いた。文化祭でこの2番を弾きたくて必死にチェロを練習してたのが懐かしい。


   藤岡 幸夫





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