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2008年7月分


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2008/07/31


 エルガー の 「チェロ協奏曲」 の話
サー・エドワード・
ウィリアム・エルガー

@

 来週は名古屋フィルとオール英国プログラム (一般非公開) 。
久しぶりに大好きなエルガーのチェロ協奏曲を振る。

以前に ホ短調 が好きと書いたが、この曲もまさにせつない ホ短調 の響きがする。

エルガーは若い頃、周囲の反対を押し切って8歳年上の女性と結婚して愛妻家として有名だった。

エルガーがこのチェロ協奏曲を作曲した当時は61歳。
70を手前にした愛する妻が病気がちとなり、天国からお迎えが来る予感を感じていたと言われる。

1楽章冒頭でヴィオラだけで歌われる旋律の切なさよ!

この曲を勉強するときいつも思うのだけど、チェロパートはエルガー自身そのものだと思う。

冒頭で悲しみ立ち向かうようにチェロが歌い上げ、ときには優しく、ときには強く、ときには無邪気に ・・・・・。
そして愛に溢れる3楽章の美しさよ!

結局、この協奏曲を書き上げた翌年に妻は他界してしまい
エルガーにとってこのチェロ協奏曲が最後の大きな管弦楽作品となる。


 ところで僕にはこの曲を振るときに懐かしい思い出がある。

イギリスに留学してすぐ、師匠のサー チャールズ グローブスが仕事をくれた。サー チャールズの代わりに伝統あるアマチュアオーケストラのリハーサルを指揮するというもので、 その時の曲がこのエルガーだった。

リバプール モーツァルトオーケストラという伝統あるアマチュアオーケストラで団長さんが会うや否や 「昔ここの常任指揮者は ズービンメータ で サイモンラトル がティンパニを叩いてました」 と言われてびっくりしてしまった。 メータがリバプールのコンクールで優勝したあとまだ全然仕事がなくてこのアマチュアオケの指揮者をしていたそうで、ラトルはリバプール生まれで高校生の頃、 ここでティンパニを叩いていたそうだ。リバプールといえばビートルズだけど、たいした街だと感動してしまった。


リハーサルが始まるとまだイギリスに来てまもない僕の英語が全く使い物にならなかったのが懐かしい。


そして彼らの奏でる音はエルガーに対する愛情に満ちていて、エルガーが英国人にとっていかに特別な存在か肌で感じた最初の経験だった。


久しぶりにエルガーのスコアを読みながらちょっとイギリスが恋しくなってしまった。



PS1 昨日は長浜で 関西フィル ブラスのコンサートの司会をしてきた。 9月6日の関西フィル の毎年恒例のリラックスコンサートin長浜 のプレイヴェントで浴衣を着てるお客様もいっぱいで夏を感じる楽しいコンサートになった。とにかく長浜のスタッフの皆さんの熱意が素晴らしく、 お客さんも明るい!9月6日のコンサートもすでに完売してて、また皆さんに会えるのを楽しみにしてます!


PS2 次の日曜日(8/3)はシンフォニーホールで毎年恒例、一年に一度の 関西フィル とのサマーポップス。 毎年補助席、立ち見まででて大いに盛り上がるのだけど、すごく嬉しいのがこのコンサートがきっかけでクラシック& 関西フィル ファンになってくださる方がたくさんいることだ。 このサイトの管理人さん夫妻も僕と関西フィルを知るきっかけはこのサマーポップスだった。

今年も シンフォニー(交響曲) のように熱い ポップス をお届けします。


 それでは皆さんコンサートでお会いしましょう!



    藤岡 幸夫

2008/07/27    「Sachioの独り言」


 僕の母校の慶応義塾高等学校野球部が延長13回の大熱戦を9対6で制して
46年ぶりの夏の甲子園出場を決めた!!

 久しぶりにテレビにかじりついて大興奮してしまった!


 今年は慶応義塾創立150周年。いい節目だ。
8月はほとんど大阪にいるので甲子園に絶対行くつもりだ。


PS 今年の10月は慶応150周年の慶応ワグネルのコンサート。
サントリーでマーラーの交響曲2番 「復活」 を振るのが楽しみ。
11月は天皇皇后両陛下ご臨席の記念式典でも指揮することになってる。
甲子園で頑張って欲しい。

PS2 実はこのサイトのファンメッセージにこうじもと君(僕の同級生)の投稿が無ければ
今日の試合のこと知らなかった! ありがとう!


    藤岡 幸夫


夏の甲子園 北神奈川予選 決勝戦の結果 (横浜スタジアム)
  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13
慶 応 0 0 0 0 1 0 3 0 2 0 0 0 3 9
東海大相模 0 0 0 1 0 1 4 0 0 0 0 0 0 6
スコアからも熱戦の様子が伝わってきます。 <管理人>

2008/07/24


 皆さんこんにちは!
週末は 関西フィル と香川の三本松でコンサート。四国の夏、海が真っ青で最高だった。

帝国製薬の160周年の記念コンサート。
帝国製薬ほどの会社なら高松の大きなホールを使うのは簡単なはずなのに、あえて地元の三本松にこだわり映画館を使ってのコンサート。

しかも、ホールを下見した 関西フィルの事務局長の西濱君の 「反響板があれば」 という意見をスタッフのかたたちが受け入れてくれて、すごいお金をかけて反響板をつけてくださった。そのおかげで音響は全く問題無し。楽しいコンサートになった。

本番前のホールのバルコニー。

本番後。
ホールの目の前の海に夕陽が沈む。


お客様は地元のかたたち対象の公募で600人の客席に3000人の応募があったそうだ。

それに反響板のおかげでこれからもクラシックのコンサートもここで増えるだろうし、 関西フィル も定期的なお付き合いになりそうですごく嬉しい。

帝國製薬の徹底した地元へのこだわりは本当に文化だと思う。素敵だなぁと心が温まる。


この映画館と温泉施設、ホテルが併設した 「ベッセルおおち」 は真っ青な海を望む小さな半島の先端にあるリゾート地で、プライベートで来たくなった。

緑と潮の香りが強烈で、四国の夏を満喫してきました。

 皆さんありがとうございました!



    藤岡 幸夫



2008/07/18    「Sachioの独り言」


 「思い出のアプライトピアノ」


 僕は東京にいるときは仕事部屋が文京区の実家にあって
近所のマンションから毎朝仕事部屋にチャリで通ってる。

 最近マンションを引っ越した。実家からは自転車で20分くらい。
マンションの自分の部屋が広くなったので、実家の物置のような部屋の奥で眠っていた
思い出のつまった古いアプライトのピアノをマンションに運んでもらった。


このピアノは祖母が70年近く前に買ったもので、亡くなったおふくろも僕が子供のころよく弾いていた。
僕も幼稚園のころから中学を卒業するまで妹たちと一緒にこのピアノで勉強してたので
思い出がいっぱいつまってる。 

高校生になってからは、オヤジが安い給料のなかから防音室と僕専用のピアノを用意してくれて
このピアノを触ることはなかった。


ピアノには見覚えのあるキズがたくさんあってすごく懐かしい。
いろんなことを思い出しながら今日は一日中このピアノを弾いてた。
指揮者の夢を見てた小学生のあの頃の気分だった。


 思えばこのピアノは僕が指揮者になった原点だ。


 心が温まる一日だった。


    藤岡 幸夫


2008/07/15


和歌山のコンサートもたくさんのお客様ありがとうございました。

ソリストの米良美一さんの音楽は本当に深くて強い。そして米良さんと和歌山合唱団の 「花」 は久しぶりに振りながらすごく癒された。美しかった。

和歌山県第九合唱団との夏のコンサートは今年で8年めだけど、今年はみんなよく頑張った!来年が楽しみだ。皆さんありがとうございました!


ところで毎年和歌山に来ると夏を実感する。和歌山の緑の香りが大好き。そして緑に囲まれた和歌山城の雄々しさよ!

実は和歌山城を再建したのが僕の祖父の弟の藤岡通夫という人で、思い入れも強い。


 今回のコンサートには珍しくオヤジも聴きに来た。

オヤジは73歳になるが、本業はレーザー工学者だが、その一方で蝶の収集家でもある。僕のコンサートの前日は蝶の仲間と和歌山で朝の6時から採集にでかけて夜の7時過ぎまで蝶を追っかけまわってたというからたいしたもんだ。



オヤジは今までに蝶の本も何冊か出版してるが、死ぬまでにまだあと3冊蝶の本を書きたいと言ってる。

オヤジも蝶の仲間の人たちもみんないい歳なのに少年のよう。素敵だね。


 さて来週は一般非公開だけど関西フィルと香川でコンサート。夏の瀬戸内海が楽しみ。


それでは皆さんコンサートでお会いしましょう!


PS 昨日は姫路で来月振るオペラ「おなつせいじゅうろう」のリハーサル。
和歌山とは対象的に姫路城は気高い女性のような姿で、観るたびにその美しさに思わず息を呑む。日本っていいね。


    藤岡 幸夫


※7/13公演のevent reportはこちら
2008/07/12


皆さんこんばんは。先週の土曜は毎年恒例の吹田での七夕コンサート。
すごくいい雰囲気でたくさんのお客様ありがとうございました。

関西フィル &藤岡ならではの演奏だったと思う。今年の年末の吹田の第九が楽しみ。

明日は和歌山で毎年恒例の夏のコンサート。毎回和歌山県第九合唱団との共演がメインだが、今年はカウンターテナーの米良美一さんを迎える。ソロではもちろん 「もののけ姫」 など歌ってもらうが、合唱団と共演する 「花」 は聞き物だ。

米良さんの唄は深くて強い。合唱団の温かい歌声と 関西フィル の美しい響きのコラボレーション。

毎年、吹田、和歌山で梅雨が明けて夏が始まり、滋賀シリーズで夏が終わるまであっという間だ。

 それでは皆さんコンサートでお会いしましょう!


    藤岡 幸夫


2008/07/03


   チャイコフスキー 交響曲第5番 の話・・・その1


 5日の土曜日は吹田の メイシアター で毎年恒例の 「七夕コンサート」。
ホールの音響は素晴らしく、毎回たくさんのお客さんで雰囲気が明るくてすごくいい。
今回のメインは チャイコフスキー の 「交響曲第5番」。


 以前にも書いたけと、僕はデビュー当時は チャイコフスキーの 「5番」 があまり好きじゃなかった。

メロディは美しいが、分かりやす過ぎて、例えば 6番の「悲愴」 と比べるとなんだか安直な気がしてた。
でも、やはり 1楽章 はよく出来てるし、2楽章 の美しさは絶品で、優雅な 3楽章 の品格の高さよ!

また、専門的な話になるがこの"ホ短調"という調性
(*1)が好きだ。
"ホ長調"は 「愛」 の調性と言われるが、これが"短調"になるとなんとも切ない響きがする。
僕が愛してやまない シベリウスの「1番」 や ブラームスの「4番」 も"ホ短調"だ。



 ところで、僕がイギリスのBBCフィルの副指揮者になってすぐ
オーケストラがこの曲を演奏して僕は客席で聴いていた。

4楽章のクライマックスで一瞬拍手がきそうになってしまうところがある。
日本にいるときはここで拍手が来たりすると、僕は分かってないお客さんがいるとアタマに来てたものだった。


その時のBBCフィルの演奏会では拍手が起きることもなく終わったので
演奏会後に団員さんに 「拍手がこなくて良かったね」 というと
団員さんは 「拍手が来たっていいんだよ。新しいお客さんが来てくれてる証拠だよ」
するとそばにいた他の団員さんが
 「何言ってるんだよ!あそこでは思わずお客さんが拍手してしまう演奏をしなきゃいけないんだよ」 ・・・・・。

このとき強烈なパンチをくらった気がした。僕の演奏やお客さんに対する意識が決定的に変わったし
クラシックファンの裾野がいかに大切か考えさせられた。



関西フィル とはこれまでに何度もこの チャイコフスキー の 「5番」 を取り上げてきてる。
長年付き合ってきた 関西フィル でしかできないこともあって本番は凄く楽しみだ。
4楽章の途中で思わず拍手がきてしまうような演奏を目指します (笑)


 それでは皆さん、土曜日は吹田の 「七夕コンサート」 でお会いしましょう!


@


PS 昨日は 関西フィル の理事のみなさんと団員全員が参加してのパーティーだった。関西フィル の 井上 礼之 (ダイキン工業会長) 理事長の集めてくださった理事の方々は財界のそうそうたる方々で (興味のあるかたは 関西フィル のホームページを参照してください) 、そのほぼ全員の理事のかたたちが集まってくださり、今後の 関西フィル のために本気で結束を固めてくださった。
感謝の気持ちでいっぱいだ。


 今後の 関西フィル がどこまで飛躍できるか本当に楽しみだ。




    藤岡 幸夫


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