藤岡さんと吉松さんの
トーク・イベント&サイン会 現場レポート
「藤岡さんと吉松さんのトーク・イベント&サイン会」 にたくさんのご来場を頂きありがとうございました。
残念ながら、参加できなかったWEB読者の方に、「藤岡幸夫さんを応援するWEBの会」からレポートをお届けします。
さて、藤岡さんの「トーク」を聞いたことの無い方は、「指揮者の人って難しいこと話すんだろうな?」と思っていることでしょう。まして、作曲家の吉松隆さんといっしょのトークショーなんて、「音楽の専門家しかわからない高度で専門的な話をするのかな?」とお思いになるかもしれませんが、実は、業界ではこのおふたりのトークは「漫才コンビより面白い!」と評判で、「作曲家と指揮者2人では音楽は演奏できないが、笑いはとれる!」と言われる大人気企画なのです。
今回は、更に司会として、今回の新譜の録音に立ち会われている音楽評論家の片桐卓也さんをお迎えしました。 この片桐さんも、トークが二人に負けず劣らず絶妙! 会場にいらした皆さんは、3人の楽しい録音裏話に爆笑&納得で素晴らしい時間を過ごされました。

会場はご覧のように特別スペースが満席に。
熱い熱気とともに始まりました!
いきなり「漫談コンビ」となり、走るお二人。
会場の方は一瞬ついていけず・・・。

以下、全写真は、JPEG写真へリンクが張って
あります。クリックしてご覧下さい。
7月3日(土)16:00、会場は、タワーレコード渋谷店6F特設ステージ、準備された50余席は満席で立ち見がでる中、トークはスタート。

藤岡さん:
「サイバーバードは、もともと完成していた曲だし、須川さんの演奏を聞いてシャンドスの社長もこれを録音する!吉松さんとレジデントコンポーザー契約する!と決めた曲だし、まあ、うまくいくのは分かっていたよね。」
吉松さん:
「須川さん、スタジオですごいテンションだし。メンバーなんて“HE is MAD!”って言ってるし!」(笑)
藤岡さん:
「須川さんホント、すごいテンション高かったよね〜。ところがさ、この録音の直前にBBCの団員と、首席指揮者がけんかしてて、みんな実は機嫌が悪くて団員はテンション低いわけ(笑)。さらに、わざわざイギリスまで来た吉松さんがテンション低いんだもん。でも、なんで、吉松さんあんなにテンション低かったの?」
吉松さん:
「いやあ、飛行機代、自腹切ったんだよ!」(爆笑)
 注)どうも、事前に手配してあった飛行機の座席の場所が気に入らず、吉松さんは成田でチケットを買い替えたらしい・・。
藤岡さん:
「そうそう、そうだった。飛行機代自腹だったってすごくテンション低い吉松さんの横で、須川さんのテンションは高すぎるし(笑)でもさ、俺が、吉松さんのホテル代出したじゃん!」
吉松さん:
「ホテルって言ったって、藤岡くんの家の近くの安いホテルじゃん」(笑)
・・・・と、いきなり、突っ走るお二人・・。

二人のトークに会場はノリノリ!
吉本の若手かと思う絶妙な会話で
会場は爆笑の連続!!



録音が行われたスタジオの写真です。



藤岡さん:
「でもさ〜、ふつう初演ってうまくいかないんだよね〜。だいたいブラームスだって書いたスコアが100%頭のなかでなっていたかどうか?」
吉松さん:
「だから、今回は、すべてMacに入力して、一応パソコンで全部演奏してみたんだよね。それを藤岡くんに聞いてもらって・・」
藤岡さん:
「そうそう、それでさ、すっごくいいんだけど、4楽章がイマイチなわけ。それで頼んで直してもらったんですよ(笑)」
司会(片桐さん)
「えっ、そんな指揮者の人が作曲家に直させるですか?」
藤岡さん:
「だって、つまんないんだもん。でも、吉松さん、うん、いいよって直してくれたよね」
吉松さん:
「まあ、僕もそう言われて直したほうがいいかな?と思ったんだけどさ、この話をするときにさ、藤岡くん、Macで聞いたって言わずに話すからさ、知らない人が聞くと、藤岡さんはスコア読んで、曲が100%わかるんだ〜って思うわけ(笑)」
藤岡さん:
「え?あれ?そう言ってるかな?(笑)ばらさないでよ(笑)」
吉松さん:
「でもね、最近は全部コンピュータでできるでしょ。だからといって音楽が機械的になるってことはなくて、実際は、全編を自分で作って、それをコンピュータで演奏させるだけなんだけどね」
藤岡さん:
「でもさ、第1楽章とか16音符が連続して大変じゃない。」
吉松さん:
「そうそう、マシンで再生していると、どんどんピッチがあがるんだよね。ここをもっと充実させようとか。そうすると45分くらい、指揮者も演奏者もまったく“抜けない”曲になっちゃうんだよね〜。機械は疲れたって言わないから(笑)」
藤岡さん:
「もう、指揮者も演奏者もライバルはMacって感じですよ(笑)」
吉松さん:
「でも、昔の曲って、絶対、これ以上ハイテンションで演奏は続かないから休憩!って感じのところがあるよね」
藤岡さん:
「人間はブレス(息つぎ)が必要で・・(笑)、ホルンなんか“どこで息つぎするんですか、この曲!”って言っていましたもんね(笑)」
と、作曲のプロセスから打ち合わせのお話まで話が広がります。


 ※吉松さんは具体的にパソコンで出力した
  スコアを手にご説明。
  もはや二人のボケ・ツッコミを
  誰も止められない!!


まさに「マニック状態」の藤岡さん。

また、交響曲第3番 (SymphonyNo.3,)Op.75の録音中の話は、
藤岡さん:
「シフォニーの3番は初演だけど、100%よく録音できたよね」
吉松さん:
「そうそう、だいたい作曲ってのは、一回作って、初演しても、“あれ?ここを変えようかな・・・”とか曲を手直しするんだけど、今回は初演をそのまま録音するわけでしょ。けっこうプレッシャーもあったんだけど、仕上がりが良かったよね。BBCフィルはほんとうにみんな上手いよね」
藤岡さん:
「ライブ(コンサート)のリハーサルは、60%くらいのできまでやって、じゃあ、あとで本番は100%でやりましょう!ってできるけど、録音のリハーサルは、そうもいかないから、とにかく100%まで引き出すわけで、もうヘロヘロになるわけですよ」
吉松さん:
「でも、藤岡くんがよくBBCの力量とか、性格とかよくわかっているから、短い時間でも彼等をよくまとめたよね」
藤岡さん:
「でも、この録音の時って、実は3日しかなくて、先にサイバーバード録って、そのあとにこの3番でしょ。録音した日は、昨年の12月中旬で、これが終わったらクリスマス休暇って時でさ、実は、団員は、早く終わりにしたい・・。
更に、この録音の直前にBBCの団員と、首席指揮者がけんかしてて、みんな実は機嫌が悪かったわけ。そして、我々の録音の最中に、その指揮者が団員に謝まりたいからとかってやってきてさ、フランス人の指揮者が「サチオ、10分だけ僕に時間をくれないか、団員達に謝りたいんだ・・」とか、割り込んでくるんだ。ところがフランス人の10分ってのは40分だから(爆笑)、時間がますます押しちゃって。けんかが終わって解決すると、ますます団員はみんな帰りたがって(爆笑)、きれいに演奏してしまうわけですよ。この3番の4楽章はそんなきれいに終わる演奏じゃだめなわけで・・」
司会(片桐さん):
「そうそう、吉松さんも機嫌が悪くなって、NOとか言い出すし(笑)」
藤岡さん:
「機嫌が悪いのは飛行機代自腹だったからなんだけど(笑)」
吉松さん:
「いや、本当に4楽章はきれいな演奏では困るわけで、僕は日本語で“藤岡!切れろ!壊れろ!”とか言うわけですよ(笑)」
藤岡さん:
「そうかと言って、そのまま団員に“切れろ!壊れろ!”って英語で言っても伝わらなくて。そうするとジャパンアーツのウチのマネージャーさんの大沼さんはアメリカ育ちだから、“藤岡さん、maniac(マニアック)ですよ”とか言うわけ。そうかな?と思って、“maniac!”っていうと、妙にみんな納得して「イエ〜ス、マニック!マニック!」とか言って、ぶち切れた演奏を始めるわけですよ。こっちは、“本当はマニアックって言ったんだけど、まあ、切れてくれればいいや!”って感じで指揮をして、フィナーレまでガ〜っと行って、すばらしい録音ができたんだけどね。あとで聞いたらね・・」
吉松さん:
「マニックって《そう鬱病》の<そう状態>のことなんだって!」(爆笑)

このあたりは、プロの漫才師顔負けの絶妙な呼吸で会場はもう大爆笑!


こちらはサイン会の風景。
みなさん、並んで頂き藤岡さんも
感謝感激!
CD発売記念のトークショーですから吉松さんへの集中インタビュータイムもありました。
司会(片桐さん):
「出来はどうなんでしょうか?」
吉松さん:
「まあ、今までは、初演の演奏を聞いて、この曲は世の中に出すのはやめよう!と思ったこともあったけど(笑)、この録音は非常に良かった」
司会(片桐さん):
「僕も、3楽章はスタジオで聞いたときはイマイチかな?と思ったけど、CDで聞くと全然違って良かったですよね」
・・とスタジオで録音と、ホールでのオケの音の違いなどについても話していただきました。
また、さらに
司会(片桐さん):
「シンフォニーの「名前」、いままではサブタイトルがあったんですが、今回は3番のみ・・というのは?」
吉松さん:
「まあ、1番・2番のころは、シンフォニーを何曲もつくるかどうかわからなかったし(笑)。実際、日本で求められるのはコンサートの最初でやる10分とか15分の曲で40分も45分もかかって、コンサートの最後にやる曲ってのは新しく作ってほしいと言う要求は少ないんですよね。だからお金にもなんないし(爆笑)。でもこれからはどんどん作りますよ!シャンドスで次のも録音しますし」
司会(片桐さん):
「楽しみですね。あと、CDジャケットを開かないとわからないんですけど、なぜ割箸(わりばし)の袋に‘吉松’の文字のデザインなんですか?」(笑)
吉松さん:
「う〜ん・・、あのデザインは向こうは本気なんですよ」(爆笑)
司会(片桐さん):
「あと、どのCDにも朱鷺(トキ)の絵が入っていますよね」
藤岡さん:
「朱鷺ってのは、吉松さんが愛している鳥だし、いま絶滅しそうでしょ? 本当に美しい鳥が絶滅しようとしている・・、まるで現在の音楽状況みたいでしょ、美しいものが絶滅しそうだ・・って。それにもひっかけているんだよね」
吉松さん:
「朱鷺は私の最初の曲のタイトルの一部でもありますけど、学術名はニッポニア・ニッポンっていうくらい日本の象徴なんで、やはり、僕や僕の曲は、日本のイメージがあるんでしょうね」
とまじめに話すと、
藤岡さん:
「あれ? 最近トキって中国から移植しているから純粋に日本の血じゃないでしょ!」
吉松さん:
「そうそう、優優(ゆうゆう)なんて、パンダじゃないって!(爆笑)」
と、タイトルやCDジャケットの話でももりあがりました。

慶應ワグネルで藤岡さんの指揮で
演奏した慶應ボーイ!
スコアに記念のサインをゲット!
さらに、
藤岡さん:
「でもね、吉松さんの曲はイギリスで、団員にウケるんですよ。みんなクラシックと同じようにロックやジャズも聴くから。この曲のこの和音はビートルズだよねって感じで」
吉松さん:
「そうそう、僕はもともとロックバンドやっていたからね。でもつるむのが苦手な性格だから(笑)、ひとりでロックやるとすると作曲家なわけで、今でもロックやっているつもりだし」
藤岡さん:
「そうそう、日本だけだよね、クラシックの人が他の音楽聴かないのは・・。だって俺、宇多田(ヒカル)のCD買ったもん(会場全体「え〜?」&笑)」
吉松さん:
「俺も買った!」(爆笑)

ということで、お二人が、宇多田ヒカルのCDを買っていることまでバラしていただいた楽しいトークショーでした。

愛用のヴァイオリンケースに
藤岡さんのサインを貰って
大幸せの図!
トークショー終了後は、サイン会となり、お買い上げいただいたCDのジャケットだけでなく、慶應ワグネルの彼は藤岡さんと演奏したスコアに、あるいは、ヴァイオリンケースの表面にと、あらゆるご希望の場所にサインをしていただけるという藤岡さんならではのサービス精神の楽しい時間となりました。

さあ、是非、次回のトークショー&サイン会は、あなたもご参加下さいね!(・・開催時期は未定ですが決まったらこのホームページでお知らせしますね)。会場でお待ちします!


また、このトークショーに参加されたファンの方からメールメッセージも頂きました。メールの感想は こちら!

文責:「藤岡幸夫さんを応援するWEBの会」

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