今回の藤岡さんのお手紙は、タスマニアでのコンサート、東京での吉松さんの5番の初演、小野市での関西フィル定期と、大充実のコンサートのお話です。
今回の写真も藤岡さんのプライベート写真です。(写真はもちろん大きなJPEG写真にリンクしてあります。) 。お楽しみ下さい。
感想のメールもお待ちしています。


 みなさんこんにちは。

 いまさらタスマニアの写真は大昔って感じですが行ってきました。 コンサートホールの色もちゃんと落ち着いてきてました。

  オーケストラは相変わらず特に弦楽器が上手い!毎度の事ながらこの地球の南端でと感心してしまう。それからソロのチョ−リャンリンが本当に素晴らしかった。彼とははじめての共演だったけど(曲目はバーバーの協奏曲)スケールの大きさ、音楽の深さ、振ってて感動させられました。
  この演奏会はFMで全国ライブ。良かったのは吉松さんの「鳥は静かに・・・・・。」を演奏したので、沢山の人に吉松の名前を知ってもらえた事です。オーケストラの吉松作品の理解力も大したもの。ちゃんと音の出し方を本能で感じてた。オーストラリアはイギリス系なので同じようにシンパシーを感じてくれるみたい。(吉松さんの音楽は日本人よりもイギリス人にウケル。シベリウスがフィンランドより先にイギリスでウケたのに似てるかも?吉松さんの音楽はシベリウスの影響大ですから・・・・。) ちなみに交響曲は、ショスタコーヴィッチの9番を振ってきました。
  コンサートの次の日は夕方までホテルにいた。勉強するはずだったけど、チェックアウトの時間まで外の雨を楽しみながらベッドの中で読書。めったに無い至福の時間だった。


  オーストラリアから戻って、吉松さんの5番の初演。

 3番以降の吉松さん自身の総決算的内容。 3番は吉松さんが交響曲を書きたいという思いがストレートに噴出した曲、4番はなんにも考えずに楽に音楽が溢れるままに書かれた曲、それに比べて5番は吉松さんがシンフォニストとしてはじめて書かなきゃならないという責任感で書いた曲だと思う。
  個人的にはもっと新しい吉松さんを期待してたけど、先にも書いたような総決算的な交響曲だった。 それでも冒頭の動機や、一楽章を支配する5拍子センスは抜群。 それに3楽章の美しさよ!4番のアダ−ジェットとも全く違う深い世界。フィナーレは最初振るのが恥ずかしかった。だから最後の molto rit は練習中一回もせずに本番一発勝負(オケにはなんにも言ってなかった。すみません)。気持ち良かったー。 でもベートーヴェンにしてもチャイコフスキーにしても5番の4楽章ってみんな恥ずかしいもんなぁ。

  都響とは初共演。素晴らしいアンサンブルの結束力、それに暖かく、ホットな音楽。更にロックまでしてくれた。吉松さん共々感動しました。それからこれは都響に良く客演するヤン・パスカル・トリトゥリエが僕に言ってたけど、雰囲気が日本のオケというよりヨーロッパのオケにいい意味で限りなく近い。
  サイバーバードの須川さんもキレまくって今まで最高の出来。3楽章のブラスが立っての演奏はプレーヤーのアイディア(嬉しかった。)本当にありがとうございました。



 

    

奥に見える金色の変な建物が新ホール。外装は変だけど音響はすごくイイ。外装の色は前回の御手紙で説明した通り 、落ち着いた色に変わってきてる。
ホテルの部屋から見たお気に入りのハーバー。赤い屋根の下がいつもの御寿司屋さん。
御寿司屋さんの前。昼間はテラスでも食べられる。

 

ライスターがオケの中入っての3日間の練習はプレーヤー達と僕にとってすごい刺激となった。それに楽しかったー。




演奏会終了後、ライスターさんが僕の部屋に遊びにきてくれて写真を撮る。


 
吉松さんの5番初演の次の日、新幹線始発で兵庫県の小野市へ。

  暖かいコンサートでした。地元合唱団と関西フィルとの日本の歌メドレー共演は自分自身振ってるというより聴いてしまった。 日本の歌っていいなぁー。僕にとってこういうクラッシックの裾野を広げるコンサートは吉松さんの初演と同じように大切にしてる。東京で吉松さんを初演して半日後にこういうコンサートを振れることに神様に感謝してしまった。また来年小野のみなさんに会えますように・・・・・・。

  そしてカール・ライスターを迎えての関西フィル定期。

  協奏曲だけでなく、後半のシベリウスの1番もオケの中で吹いてくれるという最高の企画。
  前半のクルーゼルの協奏曲は全然知らない曲だったけどライスターさん最高でした。特に2楽章の彼の音楽は一生忘れない。聞き惚れて指揮するのを忘れてしまいそうだった。後半はシベリウスの1番(冒頭にクラリネットのどソロがある。)
  関西フィルはこの曲やってないんでライスターさんの練習参加は2日目からでかまわないといったら、とんでもない初日から出ると怒られてしまった。これがオケマンのプライドかと反省。 とにかく楽しかった。彼から本当に沢山のことを学ぶことができた。
 
ところでシベリウスというと北欧のシブイ、イメージがあるけど、この曲は本質的に違う。愛国心の強い、大酒飲みの若者の書いた情熱の曲だ。スコアリングにもそれが随所に現れてる。それが伝わる演奏会を目指した。
 関西フィルの正指揮者に就任してもうすぐ2年、今僕がやろうとすることに関西フィルは本当に何とかしようとしてくれる。お互いにどこまで成長できるか自分自身楽しみにしてます。
  コンサート後、ライスターさんが僕の部屋に興奮して文字通り駆け込んできてくれて、再共演を申し込んでくれた。モーツァルトの協奏曲に後半はまたオケ中で、ショスタコーヴィッチの10番だって・・・・・。実現できたらいいなぁ。

というわけでみなさんから頂いているメールの御返事遅れてごめんなさい。今から早速だしますね。 来月は英国で久々のボーンマウス響との定期です。 それではまた!

         2001年10月20日 


PS1 春江一也の「プラハの春」を一気に読む。すごく良かった。著者は現役外交官。描写もリアルで何より「プラハの春」の事実が良くわかる。歴史が好きな方には絶対推薦。特に僕にとってプラハは生まれてはじめて行った外国(コンクールを受けに行った。その時のことは渡邉先生の思い出のページでふれてます。)で、特別な思いがあるので一気に読んでしまった。

PS2 DVDで映画「マイケル・コリンズ」を観る。これまたすごく面白かった。マイケル・コリンズはイギリス支配化にあったアイルランドの700年の歴史をたったの31年の生涯で自由に導いた実在の人物だ。IRAの母体を生んだ人物でもある。 映画本編よりそのあとの本当の映像が観れるドキュメンタリーが興味深い。テロには理由がある。その理由を本当に理解しないとただの報復のやりあいで終わってしまう。 考えさせられる。

PS3 遅れ馳せながら、竹内まりや、今井美樹、それに矢沢永吉のCDを買う。 まだ聴いてないけど、これから10年以上振りに日本の紅葉を観にいくのでドライヴしながら聴くつもり。

PS4 僕の実家(文京区)の近くで朝7時半から営業してるそばやを発見。 今朝行ってきた。最高の味!! それに女将の素晴らしい、木を贅沢に使った内装とぼくのような素人でもハッとさせられるシンプルな食器の趣味に感動。店内の木の香りが心地よい。「せいろ」も最高だが「かけそば」がこんなに美味しい食べ物とは知らなかった。それからお店の周りも文京区らしく古い木造の住宅が多く雰囲気がいい。全ての面で完璧。 何度も通うことになりそう。

   
※本ページの写真は藤岡さんのプライベート写真です。
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