関西フィルハーモニー管弦楽団第189回定期演奏会」

2006年11月30日 ザ・シンフォニーホール(大阪市)
指揮/飯守泰次郎(楽団常任指揮者) ピアノ/舘野泉
(コンサートマスター: ギオルギ・バブアゼ)

大澤壽人/小交響曲 ニ長調
ラヴェル/左手のためのピアノ協奏曲 ニ長調
  シューロホフ/アリア
リムスキー=コルサコフ/交響組曲「シェエラザード」

今回の3曲は作曲家が祖国を歌ったというよりも異国趣味をとりいれた曲という感じです。

大澤壽人
来年の定期演奏会では生誕100年を記念してとりあげられる大澤壽人、どんな人だったのかは少しだけは過去に書きましたが、今回はアメリカ留学時代の1932年に作曲された曲です。第1ヴァイオリンからコントラバスに向けて8,6,4,3,2人、他にホルンとフルートが各1人という編成です。CDでも聴いたことがなく(そもそも大澤壽人のは1枚も持っていない)初めて聴きましたが、今回の3曲中最も異国趣味が少ない曲で、のどかなシーンで使われるちょっと前衛的な時代劇の曲…いや王朝風といった方が正しいですが、ともかくそんな雰囲気の曲でした。今は晩秋・初冬ですがうららかな春のいう感じで、結構な一服を味わうことが出来ました。

ラヴェル
舞台上の人数が大幅に増えました。舘野さんの生の演奏を聴くのは初めてです。管弦楽の響きがホールを埋めつくします。そしてたった1台のピアノの音が雄弁かつ荘重、さらに華やかにホールを埋めつくします。ピアノと管弦楽が拮抗、圧倒的としか言いようのない音が飛び交います。例えるなら吹き上がる湿った熱風、集まりゆく雲、そして一閃の稲妻と轟く雷鳴。そして滝の様に降りそそぐ拍手の雨。

リムスキー=コルサコフ
これも筆舌に尽くしがたい名演でした。直線を基調とする飯守さんの動きに向けて各楽器の音が吸い寄せられてゆきます。音量の小さいところでも強靱な音が冴えます。音はとどまることを知らず、奔流し海に至り、大洋を巡り、波濤の彼方へ。そして再び拍手の雨が降りそそぎました。

今回のレポートも指揮は藤岡さんではなかったですが、藤岡さんとともに歩む関西フィルの素晴らしい演奏会でした。私の聴いた関西フィルのコンサートではベストになると思います。
以上です。



       2006年11月30日 Fu(ふ)










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