関西フィルハーモニー管弦楽団 第171回定期演奏会」

会場:2005年2月25日 ザ・シンフォニーホール(大阪市)

指揮/藤岡幸夫 (楽団正指揮者)
  ムソルグスキー/歌劇『ホヴァンシチナ』より前奏曲「モスクワ河の夜明け」
  ショスタコーヴィチ/交響曲第9番
指揮/飯守泰次郎 (楽団常任指揮者)
  ドヴォルザーク/交響曲第7番
  ドヴォルザーク/スラヴ舞曲第2集第7番

   プレトーク司会/西濱秀樹(楽団理事・事務局長)
   コンサートマスター/ギオルギ・バブアゼ

今回は、同じ曲で「地方都市オーケストラフェスティバル」参加がありましたので、内容はほとぼりが冷めてから、ということで今になっています(管理人さん、ご協力ありがとうございます)。余談ですが、関西フィルは25日がこの定期演奏会、27日が東京ですが、移動途中で別の曲で演奏会をしていますので、ハードなスケジュールです。今回関西フィルの常任指揮者と正指揮者が揃い踏みですが、この肩書の違いは楽団の音楽の上で代表取締役会長と社長の関係の様なものだとお考え頂ければいいのではないかな、と思います。さてこの2月はあまりに特異なプログラムをした楽団なので目立ちませんが、今回も何の気なしにひねった選曲に思えます。「スラヴ音楽の光と翳」というテーマで今年(関西フィルは1-12月で1シーズン)の定期演奏会の1回目、今年は前半の定期演奏会にスラヴ…というより藤岡さんの指揮する4月の定期演奏会も含めてロシア・ソヴィエト音楽が並んでいます。うちショスタコーヴィッチは今回(9番)を入れて2回。6月は定期演奏会(12番…広上淳一さん)の他にいずみホールシリーズでも藤岡さんの6番(何故か3の倍数ばかり)も聴けます。
今回もプレトークがありました。西濱さんが登場してのプレトークのつかみはまたもや控えめな拍手であった様子です。それから指揮者2人がお互い譲り合いつつ登場。最初に1つのコンサートを2人で振ることについて、もう1人をどう思うかという問いの答えが出ます。譲り合いつつ飯守さんから「楽しみにしていました…個性の差がありますから」そして「彼(藤岡さん)は若い!」と話したところで、藤岡さんが「(飯守)先生は僕より若くて熱い!!」と反応。続けて飯守さんから「団員は大変だと思うけれど、お客さんは楽しいだろう」と話が入りました。同じ質問で藤岡さんからは「昨日韓国料理屋で(飯守先生と)サシで話をしたけれど楽しかった」「楽屋が一緒になることがあるが楽しい」とあり、西濱さんが出した指揮者同士は不仲が多いという通説を全然感じさせないです。藤岡さんは今回の飯守さんの練習をずっと見ていたのだとか。次の問いは関西フィルが指揮者2名体制をとることについてで、10年以上関西フィルとつきあいのある飯守さんからは「1人でがんばるより(個性の差の分)表現の幅が広がった」という発言があり、藤岡さんも同意していました。次は今回の選曲についてで、藤岡さんからショスタコーヴィッチの9番は編成や長さのせいで後半に持っていきにくいことなどもあり、国内であまり振らない、海外ではよく振るのだけれど…、という話のあとお手紙を掘り下げた形で解説がありました。この曲は「強烈な曲」なのだ、と強調されていたことは重要と思います。ついでドヴォルザークの7番、私の理解力不足と会場係の妨害…もとい事情(うーん…)のせいであまり控えられませんでしたが、飯守さんからの話ではボヘミアの自然、人々、民族、希望、作曲者の持つ子どもの心など実はかなり込み入った曲であるということのようで、「ドヴォルザークの複雑なキャラクターが見える」「個性に触れられる」とのこと。7,8,9の3つの交響曲では7番が一番好きという話も出ました。最後に飯守さんから「2人は歳も違う、顔も彼(藤岡さん)は美男子だが僕は…(場内から笑)、でも指揮者としての態度は同じ」と発言。オレが指揮しているんだというエゴイスト型ではなく、作曲者の思いをお客さんに伝える役割に徹している態度という点で同じという趣旨(にやり)。ここは西濱さんから制限時間30秒が課せられていたのですが、当然大きく超過しました(にやにやにや)。
今回は静=翳の藤岡さん、動=光の飯守さんでした。藤岡さんの指揮は曲のせいもあると思いますが、色を塗り重ねるのではなく削ぐ感じ。特にショスタコーヴィッチ9番はチェロの手の動き(振り絞って叫ぶ様な時によく見せるような…)や拘束されて身悶える動きもやはり多くあり、真剣な振りからは曲の持つ皮肉があぶり出されて真摯な逆説という感じです。けだるさがごく薄く仕込まれているような…。また藤岡説によるスターリンの描写のシーンはなかなか背筋が凍ります。飯守さんのドヴォルザークの7番は足が指揮台の上でスケートのように動き、確かに若くて熱い、そして手堅い、独自の気の流れは今回は各楽器にそのまま語らせる感じでした。プレトークでは難しめの話も出ましたが、そんなことを知らなくてもドヴォルザークの才気を感じられる曲と演奏でした。
「ヘヴィな曲だったので軽く」とアンコールはスラヴ舞曲から。自称地味系には見えない指揮ぶり。その後飯守さんが例のグレーの上下、白シャツにノータイに着替えた藤岡さんを(藤岡さんは思いきり遠慮していましたが)舞台袖から連れてきました。
以上です。

注:トーク等の引用は往々にして、今回は特に(爆)不正確です。ご了承下さいませ。



          2005年2月27日 Fu(ふ)



本当に詳しいレポートありがとう。
飯守先生って自称地味系なんですか、僕は全然派手だと
思うんですけど。
またコンサートでお待ちしております。




藤岡幸夫

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